Starbucksでのデジタルトランスフォーメーション at Microsoft Build 2018

Microsoftの石坂さんが紹介してたこのビデオ。Starbucksでのデジタルトランスフォーメーションのパネルがよかったです。


Digital Transformation at Starbucks : Build 2018

 

司会はStarbucksクラウドサービスチームのリーダー Scott Bockheim氏。頭出しはこんな感じで始まります。

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今日はStarbucksのデジタルトランスフォーメーションを考えて、クラウド化を推進してきたかについて、ちょっと話します。...

技術の話をする前に、Starbucks のミッションの話をします。一杯、一人、一人の隣人に特別な体験を、というもの。...

テクノロジーチームからみると、デジタルトランスフォーメーションはその体験をもっと深めること。特別なデジタル体験を届けて、顧客にStarbucksをもっと伝える。キラキラした新しいものでも、単なる技術が出たから使う、でもない。店舗に寄ってもらったり、モバイルアプリを届けることを通じて、顧客とパートナーを第一に考え、テクノロジーを届ける。

そのあと、各担当を交えた説明が続きます。AIの時代にどう対応するかとか、DevOpsやSREを進めてきたという話。On Boarding (新しい人が参加するときの教育)プログラムをちゃんとしたとか。

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最後に聴衆を鼓舞するようなことをいいたい、ということでこう結びました。

私がこの2年で学んだことは、
「あなたのチームを見くびるな」
(Don’t underestimate your team) だ。

開発者、技術者、アナリスト... 話しに行って、どうしたいのかを伝えるんだ。あなたのチームを見くびるな。社員はやりたいんだ。支援や教育の機会があれば、社員は喜ぶ。信じられないほど、みんな走り出す。さっき「どうやったら普及をうまく進められる?」って質問があったけど、うまくいったことについて話せばいい。雪だるまみたいなものだ。あるチームを誘って、うまくいけば隣のチームもやりやすくなる。そしてサイクルを回す。機会と支援を与えて、成功や学びを得たら共有する。 … ベロシティも普及も興奮もびっくりするほど得られるよ。

 Microsoftのチームは直接顧客のところに行って、技術やプロセスの支援をしたっぽいですね。このあたりの組み方も、最近のMicrosoftという感じです。かっこいいプレゼン打ってライセンスを売る、というのではない、実際に使い続けてもらって売り上げにつなげるサブスクリプション時代の普及活動を感じられてよかったです。

ここまでちゃんといろいろやって、発表できる企業が日本でもたくさん出てきたらいいな、と思います。もちろん経営にも説明しているし、経営も理解しているということでした。

 

 

 

スクラムフェス大阪に実行委員として参加してきました

スクラムフェス大阪に実行委員として参加してきました。RSGTの雰囲気を気に入ってくれたスクラム道関西の人たち中心に、立ち上がりから実施までコンパクトに行われたカンファレンスでした。スタッフはたった13人。実行委員会は4-7人くらいで作業を進めてる。燃え上がらず、燃え尽きず、よい場所をちゃんとデリバリーする。そういうのがちょっとできた気がしました。

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個人的な思いですみませんが、ちゃんとダンプしておこうかな、というのがこのエントリです。

www.scrumosaka.org

東京から実行委員会に参加しながら、なんとなく考えていたこと

第一回のスクラムギャザリング東京でCEDECにご協力いただいた縁がきっかけで田口さんのスクラム事例に感動したり、オージス藤井さんにはいろんなカンファレンスでご支援いただいたり、2011年にCopeのCSPO研修をやったり、2012年以降は楽天の大阪支社に講師として何度も呼んでもらったり、関西からRSGTに多くの人が来てくれたり、仕事面で大阪に育ててもらった部分がたくさんあります。今回は大阪で久しぶりにCopeの研修をするというタイミングもあり、楽天を辞めたばかりでいくばくかの自由な時間もあり、できることはなんでもしよう、と思ったのが今回実行委員をしたきっかけです。

そこにいる人でできない作業はない

カンファレンスの準備や運営の作業って、基本的にはそこにいる人でできないような高度の専門性を求められるものってほとんどないと思っています。カンファレンスのテーマをやりたい実行委員が普通に持っているスキルでなんとかなる。知らなくても調べればよい。時間が足りないと難しいけど、知ってさえいれば最低限は実行可能なものが多くて。かといって、それをやりたい人もいないのですが。だから、お金を支払って業者さんに手助けいただく道もあるし、やることを絞って自分たちで手作りできる範囲に抑えることもできる。大事なことは、ちゃんと選択することかなって思います。

まずは「できる範囲でやる」っていう判断がちゃんとできることが大事かなと。

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大阪の人たちが考え、RSGTの知見で補完する

RSGTはイベント業者さんに手伝っていただいたこともあるし、自分たちでやったこともあります。基本は大阪の人たちが考えるベストな方法で進めるとして、RSGTの開催を通じて知っているノウハウがあれば、お渡ししようと思いました。わざわざ大阪に行く必要も、実行委員になる必要もないと思うかもしれません。しかし、仕事でもそうですけど「わからないことは質問もできない」という人間の認知の問題がありますので、「なんでもメールで聞いて!」モデルも「次のミーティングでまとめて聞いて!」モデルもなかなかうまくいきません。初めての時こそ、同席(Sit Together)が有効で、必要と感じたらすぐ手伝える体制で横にいるのが大事かなと思います。

2019.scrumgatheringtokyo.org

自分がいなくても10年使える仕組みをちゃんと考えながら

今回、イベント業者さんは使わなかったのですが、グッズの製作や会場など、多くの関係業者さんと話をしないといけないですし、スポンサーさんや登壇者の方々にも連絡や相談が必要なことがあります。どこかにブラックボックスを作ってしまえば、来年他の誰かがやるときに問題になるかもしれない。どういうタイミングで、何を誰におねがいしないといけないのか、ちゃんと残しながら、かといって重要なコンセプト以外の議論に時間をかけずにすすめていくことを、考えながら参加しました。たぶん、大阪でずっと同じようなカンファレンスが行われることが、みんなにとってよいと思うからこそ、このカンファレンスをやってみるわけで、そこそこ成功するなら、それはたぶん、続けてほしいということになる。そうなったときに続けられないような情熱や仕組みでやってしまうと、寄付金だけ集めて逃げる詐欺業者、とまでは言わないですけど、ちょっと残念な感じがします。実行委員の人たちがやめたくなったらやめればいいんですけど、できるだけ自由な判断ができる状態を作っておきたいと思いました。

Fearless Change アジャイルに効く アイデアを組織に広めるための48のパターン

Fearless Change アジャイルに効く アイデアを組織に広めるための48のパターン

 
「謎の人」

恩返しの意味はあるにせよ、個人的には特にはっきりとしたメリットがあるわけではないのですが、そうなると、なんで来るの?って感じになりますよね。旅行や出張がそんな好きなわけでもないし、今回はアギレルゴで旅費を出してもらってますけど、アギレルゴがそんなに儲かるわけでもない。

メリットが明確になってから努力を傾けることは誰にでもできるので、そうではないとこに努力を傾けてこそ、世の中にとって価値があることにつながるのではないか?とちょっと思いながら、タガを外す。ただ、思い余って無理をしないこと。誰も見てないとしても、淡々と貢献する。他の人がやりそうなことでもないので、やっておけば学びも多いです。まとめると、さして深く考えてませんでした。

www.jp.agilergo.com

資金がないとしんどい

初回のカンファレンスで一番辛いのは、資金繰りだったりします。今回は東京からの支援とか、Scrum Alliance からのスポンサーとかも確定しないし、参加者も何人来てくれるのかわからないわけで、それで運営に失敗すれば、お金だけがマイナスになる。これはやったことがある人はわかると思いますが、思った以上にしんどいです。

今回はありがたいことに、かなり初期からいくつものスポンサーについていただくことができ、会場も関西大学さんにお借りすることができ、資金の面では安定した運営を行うことができました。黒字分は、法人税等を支払った上で来年の催行に回すことができます。

そのあたり、スクラムギャザリング東京を始めた2011年とはだいぶ状況が変わっているのを実感しました。心強かったです。いつもの関係先に、ちゃんとご支援をお願いするというのもできました。慣れてないと意外と難しいと思います。普段のみなさんの活動がすごくプラスに働いて、無理のないところからご支援をいただくことができたのではないかと思います。 

Running Lean ―実践リーンスタートアップ (THE LEAN SERIES)

Running Lean ―実践リーンスタートアップ (THE LEAN SERIES)

 
はじめて何かをするときに起きがちなこと

 これはScrum Fest 大阪で起きたことではないのですが、初めてアジャイルをやるとか、カンファレンスをやるところに立ち会ってきて、起きがちなことがあると思います。

  • 100対0の雑な議論が起きがち
  • 実現性のないアイデアも話が盛り上がりがち
  • やったことがある人がマウントしがち
  • 途中でも原則論でひっくり返したくなりがち
  • その結果、議論や作業の時間がなくなりがち
  • 持ち帰り作業が増えると一部の人が疲弊しがち
  • 一部の人が疲弊すると、次にやってくれなくなりがち

 作業時間内で、まず実現可能な選択肢を作り、その中からちゃんと選ぶ、というのを心がけました。リーン製品開発でいうセットベース開発に似てるかもしれません。

リーン開発の本質

リーン開発の本質

 
たくさんの笑顔をみることができたので、きっとちゃんと続く

今回は多くの笑顔をみることができました。チケットの販売も好調で席が足りないくらいでしたし、セッションもよかったし、スタッフも大変だけど次にやりたくないほどではない感じがしてます。ほっとしました。すべての関係者のみなさま、本当にありがとうございました。続きそうでよかったです。

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全員の意見が一致してよかった!

割と Fun! Done! Learn! はジェフ・パットンさんに教えてもらったこれに基づいています。

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長々と説明するより、まず一旦書き出すことで、理解の差異がわかって、議論ができる。一方的な説明では時間がかかりすぎるので、同時並行・即時・インタラクティブ・フラットに質問して確かめて、必要ならアップデートしていく。欲しいのは共有文書ではなく共通理解

協調ワークショップというやり方です。

ユーザーストーリーマッピング

ユーザーストーリーマッピング

 

 



Scrum Fest Osaka 2019 前夜の竹中平蔵先生の講演がすばらしかった

Scrum Fest Osaka 2019 の前夜に同じ会場関西大学梅田キャンパスさんで竹中平蔵先生の講演があるということで、実際に客入れする環境での会場の動作をみるために、大変興味がありまして、参加させていただきました。

www.kansai-u.ac.jp

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その場でとったメモを転記しておきます。メモなので正確性についてはご容赦ください。

経済には絶対の正解がない。絶対の正解がないことを考えることがすばらしい。

ここ2年の間に世界でただならぬことが起こっている。しかし日本の感度が低い。建設的な危機感を持っていきたい。

世界経済、アベノミクス、どうなるのかを考える。ダボス会議があったので、その話から。世界経済フォーラムが主催する年次総会。スイスのチューリッヒから2時間入ったスキーリゾート。2500人の世界の経済リーダーが集まる。ついていく人も含めると6-7000人の人が集まる。いろんな国が同じようなものを作りたいと言って、中国などもやっているが、Winner Takes All で、一番のところはもっと人が集まるようになる。私はダボス会議の理事をやっている。日本からは二人。私とカルロスゴーンさん。今は一人になった。今回の会議の最大の話題は安倍総理が基調講演を行ったこと。チューリヒプーチン首相と会った後に鉄道でダボス入り。ヘリコプターを断って入った。2001年に森喜朗首相の副官房長官として随行した際のアルプスの風景が忘れられないとのこと。

G20のサミットが始まったのは11年前。今年初めて日本がホスト国になる。Brexitや極右政党の台頭など、世界がどうなるかが大変きになるところだった。ダボス安倍総理は堂々たるスピーチをした。

30分くらいのスピーチで半分くらいは日本の話をした。5年前のスピーチでは岩盤規制を壊すドリルになると話した。かつて0.4まで下がっていた有効求人倍率は1.6になった。GDP世界3位の国の責務を果たしたい。

そのあとはビッグデータの話。

昨年のメルケル首相は「これからの経済競争はビッグデータの競争だ」と言い切った。アメリカにはGAFAがいる。このIT企業がものすごいビッグデータをためている。みなさんスマホで買い物をするとデジタルのデータが溜まっていく。これが第四次産業革命をうむ。安倍総理はデータをもっと利用できるようにしよう、と話した。Free Flow。ちゃんとルールに基づいてビッグデータを使えるような世界的な仕組みを作りたい。GAFAがなぜアメリカにあるか?なぜならアメリカは自由の国。規制がほとんどないのでデータをためて巨大な企業になった。中国はアメリカを締め出して、アリババやテンセントが13億人の市場をバックに大きな企業になった。ヨーロッパは規制をかけた。世界の対応がバラバラ。なので、安倍総理はそこを共通の仕組みを作ろう。格差の拡大を抑える武器になると語った。Ghost Busters ではなく Gap Busters だといった。大阪のG20から始めますよう。Osaka Track と呼びましょう。

非常に高い評価を受けたと考えたい。報道があまり伝えていないが、ホームページに概要が載っている。そのあと、非公式の昼食会があった。私が司会した。総理の横に座ったのは、Apple の Tim Cook社長。その向かいはファーウェイ社長、隣はシーメンスの社長、セールスフォースのベニオフ社長。

ゴーンさんの問題や、国際捕鯨委員会の話題が出た。日本は法の支配が確立しているので、首相といえども口を出せない。コーポレートガバナンスがの問題。私も新聞で初めて内容を知る。国際ほげ委員会(IWC)については、商業捕鯨と自然保護の両立をするために設立されたが、最近は自然保護の話ばかりで、商業捕鯨の話を提案しても受け入れられない。私たちは調査に基づいて、シロナガスクジラの数が減っていること、その原因がミンククジラが増えて餌をとることによって起こっていることをあげた。一国の総理がきちんとその話をしていることが素晴らしい。総理が帰り際に「これ、国会にもっていくと無茶苦茶になるんだよね。」ダボスと国会にギャップがある。

フィナンシャルタイムズのマーティンウルフという名物記者が、主要国の経済担当大臣が五人くらい並ぶセッションがある。私も大臣の時に登壇した。日本からは黒田総裁が最近は出ている。今回このセッションがなかった。

なぜこのセッションがなかったか?これだけアメリカと中国が対立を深めていると、経済の変動がそこに大きな影響を受ける。そのためだと思う。IMFの統計では、昨年3.8%の成長のところ今年は3.7%と見ている。大崩れはしないが減速。内閣府お統計は成長率が上がる。昨年災害があったので戻す。消費税が上がっても成長率が上がると見ている。しかしこれは楽観的にすぎると思っている。経済が大崩れすることはないと思うし、悲観的になっても仕方ないのだけど、慎重に見なければいけない。

第四次産業革命を構成する要素は5つあると思う。AI、ドローン含むロボット、IoT、ビッグデータビッグデータを活用するシェアリングエコノミー。民泊やライドシェア。日本ではタクシー業界の反対でライドシェアができていないが世界ではものすごい発展している。

第四次産業革命でただならぬことが起きていると言いました。例えば、成田の出入国。今年一年ですべてAIで行われるようになった。法務局がハンコを押していた。少し前から指紋の登録で自動化ゲートを作っていたが、現在は顔認証で三秒で確認される。iPhone Xを持っている人?私はiPhone8ですが。国家事業の最前線で顔認証を使うようになった。アリババという名前を聞いたことがないひと?いませんね。アリババはAmazon楽天のような電子市場だけでなく、AliPayという決済システムを持っている。ジャック・マーという青年が創業した企業が、12年前に香港に上場した。現在の時価総額は日本最大のトヨタの2.5倍。本社は杭州。郊外に本社が二棟立っているが一棟は隈研吾さん、一棟はGoogle本社を設計したアメリカ人建築家が設計した。アリババは、ビッグデータ人工知能を組み合わせてできることはなんでもやる、ということにした。交差点のカメラ画像を使って、交通信号の最適化を行なっている。赤信号の時間を変えた。20%混雑率低下。救急車の到達時間は半分に。世界の都市に売り込んでいる。東京には売りに来てる。まだデータを持って行かれないか不安があって買っていない。クアラルンプールは買うことを決定した。人工知能で自動運転に期待していますか?私はちょっと不安がありますが、一つ言わないといけないのは高齢者が運転するより安全なんです。日本はドライバー不足が深刻。地方の交通弱者のおじいさんお婆さんにとって、自動運転が連れて行ってくれたらどれだけいいか。ニーズはあります。日本には技術もあります。自動車、センサー、カメラ ... 技術があるのに、規制があるからできない。実験をしようにも規制があってできない。道路情報が重要だが、国道の情報は国が、県道市道地方自治体を持っている。保育園があるという情報を誰が持つか。GoogleトロントGoogle化すると宣言した。

第四次産業革命に際して、規制を変えて行かなければいけない。霞が関は何もしなかったわけではなくて、少し不幸なタイミングもあった。2011にドイツ、ハノーバー政府がInduustry4.0と行ったのが始まり。当時ドイツの中小企業はお互いにデータを隠すことをやっていた。技術者が持っている技術をデジタル化しよう。2012年にDeep Learning が出てきた。人工知能が自分で自分を賢くすることができるようになった。人間は犬を識別できるのは、親や周りにあれは犬だ犬だとなんとも教えられたからできるようになった。この識別をコンピュータができるようになるのがディープラーニング。人間はご飯も食べなきゃいけないし寝なければいけないけど、実行知能は寝てる間もどんどん学習を進める。今チェスのチャンピオンにAIが勝つ。2011年には不幸なことに東日本大震災があった。2012年からは復興をやろうということになったため、こうしたことの認知が遅れた面はあったと思う。そのあと骨太の方針などを出したが、メディアはあまり取り上げてくれない。

規制があるから難しいと言いました。道路交通法を改正して、人間が載ってなくても大丈夫にするのはちょっと大変。地域を限定したテストベッドを作りましょうということをやっている。こういうことを始めたのはイギリス。イギリスは世界で初めて法の支配を確立した国。規制の砂場、サンドボックスをイギリスは作った。なんとその3ヶ月後にシンガポールが作った。私も見学に行った。なんと日立製作所と東京三菱UFJブロックチェーンの実験をしている。中西頭取に聞いた。なぜ日本でできないんでしょうか?安倍総理に伝えたら、日本でやりましょうということになった。これが昨年採択された。重要な法律を二本出したが一本は通った。その時点でサンドボックスを作った企業は18ヶ国になっていた。遅きに失しているわけではないが。報道は伝えてくれないから知らないですよね。

中国は規制の力でビッグデータを作ったが、日本はスーパーシティという考え方で、特区でやろうということになっている。片山さつき大臣に指示がでて法律を作りなさいということになっている。グリーンフィールドとブラウンフィールド。たぶんグリーンフィールドの方がやりやすい。そこに入ると自動運転もOK。最近引越しした人いますか?とてもめんどくさい。転出届、転入届、銀行、郵便局... Tell us once といって、区役所に届ければ全て終わるということをやらないといけない。その前に個人情報を使ってもいいということを許可を取らないといけない。政府がやっていることを地方の条例が上書きできないといけない。内閣法制局が猛反対をしている。なぜか?前例がない。今度の国会は回帰が短いので通らないかもしれないけど、なんとかこの国会に提出して欲しいと言っている。提出の前には閣議決定がいる。まず政府としてこれをやりましょうという閣議決定をして欲しい。

もう一つ重要なのが働き方革命。若い人今日はいますが、リンダグラットンの Life Shiftによると100歳まで生きる時代がくる。20年間教育を受けて40年間働いて、残りはその間の蓄積で余生を過ごす。しかし90歳まで生きるとなると、途中で学び直しが必要になる。日本ではサイバーセキュリティ人材が大きく不足している。海外の人にもきてもらうんだけど、足りない。なので、学び直しが必要になる。二年間夜間の大学に通っていただいて専門家になってもらう。政府は半分くらい補助金を出す。提案したら麻生財務大臣に反対されたが、総理がやりましょうということで半分は出すことになった。学び直すことによって、給料があがる。所得税額が増えるので半分出しても9年で回収できると試算している。実は政府として効率の良い投資ということになる。また、これまで時間で仕事の評価をしてきたが、アウトカム、成果で図らなければならない。労働基準法の改正は紛糾した。

現在もアナリストや企画の人は成果で図られるべきだ、というのがあたりまえ。しかしこの国はできていない。この法案を出したら「残業代ゼロ法案」と報道された。時間で図らないのだから残業の概念もない。あと兼業を禁止している企業がある。これは誰か裁判を起こせばいいと思うんだけど、憲法違反でないかと思う。もちろん守秘義務利益相反を防ぐ必要がある。でも考えてください。人工知能の専門家が出てきたら、午前中はA株式会社、午後はB銀行、夜はC大学で教えている。というのがあたりまえになってもおかしくない。私は終身雇用を否定はしていない。先輩から後輩への知識の移転も進むし。それが必要な職種でやればよい。そうでないやり方を作っても良い。多様な働き方を認めましょう、その相互の間に制度的不平等が内容にしましょうと言っているわけです。

質問の時間を残したいので、最後に一言だけ大事なことを触れておきます。今アメリカと中国の間にあるのは貿易戦争ではない、ということを言っておきたい。最初は貿易戦争でした。中国は当初国家資本主義によってアメリカを締め出して13億人のビッグデータを作った。当初アメリカは余裕をもって見ていた。なぜなら、自由を制約しても本当のイノベーションがでてこないという余裕があったのだと思う。ここで第四次産業革命が出てきた、ビッグデータを貯めることになった。もう無視できない。NAFTAの見直しが行われた。China Clause 中国条項。中国に利するような取引をしている企業があれば、排除する。慌てたのは日本の企業。とりわけ、ソフトバンク。ファーウェイと5Gをやろうとしていた。しかし、通信三社はアメリカ企業とやると発表した。中国側のサプライテェーンに入るのか、アメリカのサプライチェーンにはいるのかを突きつけられる。これはアメリカの企業にも大きな打撃がある。これまで中国のサプライテェーンを利用してきた。日本はこれまで工夫を凝らして凌いできたが、現在のアメリカと中国の対立は深刻。高官が一言いうだけで大きく相場が動くことになった。

これまでアメリカがルールメーカーだった。日本は遅いぞと批判されながら頑張ってついてきた。しかしアメリカが消えた。日本はルールメーカにはなれないけれどルールシェイパーになろうということになった。TPPを成立させた。日本が地道にやっていることを世界が評価するようになった。

最後に一つ。昨年の感じは「災」でした。菅官房長官に聞いたら「成」だとした。昨年は労働基準法外国人労働者の受け入れ、水道法、難しいと思っていた法律が幾つも成立した。時には強引だと言われながら、昨年のうちに成立させたかった。なぜなら今年は大変な年だから。世界の経済がただでさえ大変なのに、日本の経済も揺れ動く要因がある。まずロシア。今年はプーリン首相と3回会談する予定がある。北方四島の返還。なぜ二頭先行なのか。日本は南千島の領有を返上した。国後、択捉は南千島に含まれるという説もあるので妥当かもしれない。このシナリオは鈴木宗男さんが言っていたことそのまま。

今年は統一地方選がある。衆議院4年と参議院3年の人気が重なるのが12年に一回くる。12年前は自民党が惨敗した。公明党は地方議会から立ち上がっている政党なのでとても重要。さらに今年は新しい元号になる。平成になったのは89年。数字で見たときのバブルのピーク。平成になった途端に崩壊した。7月は大阪でG20。そのあと統一地方選衆議院選挙は政権選択選挙参議院は批判が集まりやすい。自民党は一期三年2気までという規約を変jこうした。中曽根さんも小泉さんも6年でやめている。安倍総理は選挙で勝てば9年までやる可能性がある。桂太郎内閣を超えた市場最長になる。衆参同日選挙をやることで、国民の投票行動は保守的になり、野党が共闘できなくなる。しかし衆議院を解散するためには大義名分がいる。ロシアの北方四島返還の件を使おうとしていたがうまくいかなくなった。まあ理由はなんとでもつけられるものかもしれないが。

カジノ管理委員会というものができた。カジノ業界の人の日本を見つめる目がすごい。G7で日本だけがカジノをもっていない。1兆円プロジェクトなので、血眼になっている。収益の15%は国、地方自治体は15%に渡す。これは地方交付税に影響しない。三社のゲーマーを選択するが、すべてアメリカでいくのか、一つ中国を入れるのか。そのあとラグビーW杯、そして消費税増税元号が変わる今年、様々なことが起きるのでいろんなことを考えていただきたい。

平成の30年はどういう時代だったと思いますか?失われた30年?わたしはまだらな30年だと思います。経済統計は悪くなりましたが、私たちのデジタルライフはものすごくよくなった。東京と大阪の都市開発がよくなった。これだけ開発が進んでいるのに大気汚染がない。

この30年の間にアメリカの人口は30%増えたが日本は横ばい。実は人材の取り合いをしていた。日本だけが背を向けていた。アインシュタインが言っている最強の理論とは、複利計算。1.2の30乗は倍になる。

以上、時折不正確なメモになっていると思いますがご容赦ください。

平成の教訓 改革と愚策の30年 (PHP新書)

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すばらしかった!明日も頑張ります。

前説の先生のご説明から大変にクオリティが高く、さすが大阪、しゃべくりが素晴らしいな、と思いました。竹中先生も和歌山の高校とのことで、関西の文化おそるべしです。

明日もScrum Fest Osakaで、きっとたくさんの素晴らしいトークが聞けることでしょう。私はワークショップなのでしゃべくりはあまりありません。

confengine.com

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というわけで、明日も明後日もよろしくお願いいたします。

 

 

セクショナリズムを組織改編で廃せるか?

NHKの組織改編のニュースで気になった会長の発言があります。

NHK「最後の良心」に異常事態 「ETV特集」「ハートネットTV」の制作部署が解体の危機

今回の組織改編の目的は、縦割りのセクショナリズムを廃し、効率的で柔軟な人材配置を行うこと。

こういう話よくありそうなんですけど、そもそもセクショナリズムを組織改編や辞令で廃すことはできない感じがします。誰にとってどう問題だったのか、その辺話してきましたかね?

上司の意見を聞かない部署がセクショナリズムに見えてる、みたいな話も想像される発言です。私の経験では、その人たちに任せる方がいい成果が出そうで、いらないのは上司の方だったというパターンもありそうかなと。気に食わないのはわかるのですが、トップともなれば、そこを任せておくくらいの器量が求められる気がします。

有機的に結合した組織を再現するのは大変難しいというか無理なので、簡単にベリベリっと剥がそうとすると壊れちゃうのではないかと思います。ファンクションに対して合目的ではない場合に、まずはどうやったら課題を解決できるのか、メンバーで議論してみるのが大事かなって思いました。マネジメントは人々に対して、誠実であってほしいと願います。その向こう側には顧客がいるのです(トップの後ろではなく)。

この件に関しては十分な情報を持っていないので、本当のところはわかりませんが、こんなことが頭によぎったのでした。

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ふりかえりの成功条件

ふりかえりの成否って成果物では測れないと思っています。事前に固定の目標があって、それを達成しないと気が済まないマインドセットが、しばしば現実を見る眼を曇らせて、みんなをしんどくさせる気がします。目標が間違ってる可能性については考えてますか?やってない人が考えた目標だったりしないですか?(それは単なる呪いっぽい)

現状をちゃんと把握したい

スプリントレトロスペクティブで「意見が出にくい」「改善案がでない」「改善案が実行されてない」「課題が残り続ける」という課題をよく聞く気がするのですが、たぶんこれら全部問題なくて。極論ですが、そういう現状がちゃんと把握できてるということが大事なんじゃないかと。思ったより仕事が進んでないならそれを確認したいし、はじめに思った計画が間違ってただけかもしれないです。っていうかサボってない自覚があるなら、確実に見積り・計画の間違いか、実力の見誤りに過ぎない。

これまで1スプリント以上一緒に仕事してきて、たぶんなんか出来てる上に、ちゃんと話せてるじゃん。

っていうのはその場で確認可能な事実です。チームはそのベースの上に次を考えたいんです。これって次のプランニングの重要なインプットになると思います。

ふりかえりだけを考えすぎない

アジャイルの適用の第一歩として、ふりかえりから始めるパターンは多いと思いますが、ふりかえりだけを取り出して、うまくいったかどうかを考えすぎないほうがいいかなと思います。

目の前の課題・顧客やエンドユーザーへの貢献ができるかどうかが本流なので、その成否はスプリントレビューで確認したいところです。その上で未来を変えられるのはプロダクトバックログの整備です。

雰囲気こそ情報

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写真はデブサミでのFun! Done! Learn! の風景です。二日間のカンファレンスで得た学びと自信を感じます。書かれた付箋より、そういう雰囲気こそが情報って感じがしました。

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雰囲気を、そこにいない誰かに報告するの難しいんですけど、そこにいれば分かるもの。ふりかえりは誰かへの報告のためのミーティングではないので、そこにいる人が分ったなら十分なんだと思います。現地現物とはまさにこのこと。

How to Change the World 〜チェンジ・マネジメント3.0〜【委託】 - 達人出版会

Fearless Change アジャイルに効く アイデアを組織に広めるための48のパターン

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マインドセット「やればできる! 」の研究

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作るものの選び方

ずっと直して使えたらいいのに

5年でも10年でも、そこにいる人で直しながら使えるような仕組みをいつも考えています。いらなくなることはあるにせよ。言われることだけやるのは論外。対処療法でよくするだけじゃダメ。目の前の要望にだけ対応してるだけじゃ足りない。

そのためには、最先端だけじゃダメだし、古臭くてもダメだし、儲からなきゃ続かないし、使いやすくなきゃ使ってもらえないし、運用できないような品質じゃあ疲れちゃうし、人づくりもチームづくりも周りとの関係づくりも大事。信頼されるだけでなく、信頼できる相手を選ばなきゃ続きません。

始めるものを選ぶ

いつだって始めるときは短い期間だけど、続くときは数年続きます。辛いままで3年も5年もやるなんて、きっと自分が自分を許せなくて。だから、いつも安定を重視するし、隙作ったらちょっとづつなんか試します。

始める、起こす、ってとっても大変なので、すぐにやめるようなことでは、やらないに限ります。打率はそんな高められないので、ちゃんと実験して、解像度の高い理解に基づく、抽象度の高いゴールに基づいて、前に進んだり悩んだり絶望したり感謝したりしたいです。