ソフト開発未来会議|特集:「後編:日本におけるアジャイル ソフトウェア開発のこれから」

ソフト開発未来会議|特集:「後編:日本におけるアジャイル ソフトウェア開発のこれから」
http://developerscafe.jp/future/special/special03.html

平鍋さんのいう点がすごくまとまっていて、常に思考を整理する時間をつかっておられるのだなぁ、と感心しました。

アジャイルは作り手が持っているモチベーションと、使い手のニーズが出会うことで、新しい価値や感動を得られる手法だと思っていて、それがいま、クラウドオープンソースのツールなんかの登場で小さい初期投資で始められてマスに訴えられるサービスを作りやすくなるなど、モチベーションの面も含めて取り組みやすい環境が揃ってきているのではないでしょうか。

 そして世界を含めた市場に向かって、日本から受託じゃなく、オリジナルなソフトウェア製品—これは僕が JUDE をやっている理由なのですが−を出してリターンを得る、というような仕組みを回していきたいし、そういう産業構造になれば、いいソフトウェアを作りたい、というようなモチベーションがさらに高まって、アジャイルが活躍できる領域が広がるのではないかと思っています。

 最近、もう 1 つ注目されている分野があって、それは UX (ユーザーエクスペリエンス) の世界でアジャイルが再発見されていることなんですね。使いやすいシステムを作るとか、感動させるユーザー インターフェイスを作るのは、ウォーターフォールでは絶対だめで、これは UX 側からアジャイルを再発見してもらった。この分野はアジャイルの新しい事例になるのではないかと期待しています。

 もう 1 つ言うと、アジャイルのコンセプトは例えばトヨタ生産方式 (リーン) や、野中郁次郎先生の新製品開発方式 (スクラム) のような日本の製造業のノウハウを体系化したものが多いのですが、日本人はそうした体系化やコンセプトの情報発信が得意ではないし、そういうことをしている人もいないんですね。今後はそういう情報発信ができるような人も増やせたらなあと思っています。

Agile と UX についてはちょっと

ユーザビリティエンジニアリングの人たちは、製品開発とタッグを組んで、ソフトやハードで一般的な開発過程の、なるべく上流にかませなさいな、というアピールが多かったと思います。テスト工程に組み込まれても、もう直せないじゃないの、ということです。また、きちんとしたユーザ調査には時間がかかる、ということも探求/主張してきたのではないかと思います。

しかし、アジャイル開発は、1〜4週間でどんどんと動作する/テスト済みの途中生産物を出していきます。よりよいユーザ体験を実際にユーザに試験してもらって引き出すには誠に好都合なはずですが、一方で、従来のユーザビリティエンジニアリングでもちいられるエスノグラフィカル(文化人類学的)な観察手法には圧倒的に時間が足りない。

なので、新しい関係が求められている。というのが現在の課題であろう、というのが、現在の認識です。

参考文献