陳舜臣著 : 青山一髪 〜 辛亥革命に到るまでの孫文たちの軌跡

龍馬伝ブームなので、幕末のWikipediaエントリがとても充実していて、楽しく勉強させてもらっている。数日前に、武市半平太山内容堂が2歳違いの同年代だということを発見して、すごくうれしかった。同年代なりのねたみや競争心というものもあったかもしれない(などと、根拠のない想像を巡らすのも楽しい)。

学生の頃から、陳舜臣先生の本は大好きで、いくつか読んでいる。諸葛孔明曹操孟徳、チンギスハン一族、など、人の心や、その時代の文化を織り交ぜて活き活きと描かれていて、思わず引き込まれ、その度に、いろいろなことを自分の頭の中で仮説を組み立てるなど、とてもいいきっかけをもらっている。

図書館に陳舜臣の棚があって(あたりまえだけど)、半数以上は読んだのだけど、近世/近代ものは手が出ていなかった。しかし、前述の通り龍馬伝が始まってから、明治維新にいたる人々の変化や活動に興味がでてきた結果、同じように、中国で近代の革命を導いた孫文たちを扱うこのシリーズにも、興味を抱くに至った。

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青山一髪〈上〉孫文起つ

青山一髪〈上〉孫文起つ

青山一髪〈下〉辛亥への道

青山一髪〈下〉辛亥への道

孫文という人は、辛亥革命を成し遂げた革命家ではあるのだけれど、革命後に独裁したりとか、そういう黒い部分がまるでない人のようである。そのため、中華民国の国民党はもとより、対立した共産党の人々からも、尊敬をうけているっぽい。

孫文清朝末期(と結果的になる時代)、アメリカ合衆国に併合になる前のハワイのハイスクールの英語による教育を受け、香港で医者をやっていた俊英なのだけど、漢族でなく満州族が統治する清朝にかわって、共和制による政権を打ち立てたいと、革命にむけての活動をしていく。その活動は失敗の連続。失敗のたびに、心通わせた同志が亡くなったり、自身も追われる身になる。長い時間をかけ、幾度の死地をくぐり抜けつつ、しかし常に楽観的に、あるべき未来を周りに説きながら、世界を巡って革命に向けて意識づくりをすすめていく。

アヘン戦争太平天国西太后日清戦争義和団の乱、明治政府の人々など、歴史でさらっと習ったいろいろな事件や人物が、ところどころに生き生きと顔を出して、楽しませてくれるのが、陳舜臣先生の小説らしいところ。

すごくゆっくりと読んでるので、まだ下巻を読み終わってませんが、日記に書くタイミングをなくしそうなので、ここに記録しておこうと思い、このエントリを書きました。