Agile2010 - Day1参加報告

Agile2010 第一日 の報告です。


Linda Rising : Customer Interaction Patterns [チュートリアル]

セッション概要: http://agile2010.agilealliance.org/culture.html#5271

Agile本読部で読んでいる "Fearless Change" の Linda先生のチュートリアルです。アジャイルチームでは、開発者自身が顧客や利用者と対面する機会が増える訳ですが、この人たちは顧客対応のプロではないので、コミュニケーション上の問題を抱えがちになるそうです(なんとなくわかる)。90年代にScrumを適用しつつある企業にいた Linda先生(ComputerのPh.D) はこの課題に対応すべく、認知科学の知見を勉強して、パターンをまとめたそうです。

パタンランゲージは建築家クリストファーアレグザンダーが編み出した、実践知の体系化手法です(というまとめでいいのかわからないけど)。パタンランゲージは、基本的に「概要 - 状況 - 解決法」という書き方をするのですが、ここで重要なのは「解決法」だけを読んで飛びつかないこと。完璧な解決方法など存在しないので、どんな状況にも適用できる解決法はないよ、ということです。(というわけで以下に書くのは解決法だけなので注意)

ハンドアウト資料からパターンを列挙します。これを1つずつ、参加者に協力してもらって寸劇を交えながら紹介していきました。

企業内研修で使ったらいいと思います。

  • 基本となるパターン
    • Know Yourself : あなた自身の強みと限界を、チームと組織の強みと限界と同じように理解する
    • It's a Relationship, Not a Sale: 顧客との信頼関係を築く。現在の手続きではなく、信頼関係を重視する
    • Know the Customer: 顧客について、できる限り、学ぶ
    • Build Trust: 顧客からのコンタクトはすべて信頼構築のチャンス
  • 実装パターン
    • Listen, Listen, Listen: 顧客を理解するために、徹底的に顧客の話に耳を傾ける。あなた(技術者)がどう思うかより、顧客がどう考えているか/理解しているが重要
    • Be Responsive: 顧客から要望を受けたら、どのように解決しようとしているかを顧客に伝える
    • Meetings Around the Meetings: 顧客とのミーティングに早めに行って、他の参加者と仲良くなる
    • Personal Integrity: 顧客からの重要な情報を、自分だけにとどめない
    • Bad News Early: 悪いニュースを、手遅れの状態で聞く状況は避ける
    • Skinny Chicken: 完全な機能が間に合わないなら、最優先の一部機能を顧客に提供し、完全な機能はいつになるかの現実的な期日を決める
    • You're the Expert: 顧客からみれば、あなたはエキスパート。言い訳しない。ふさわしい行動をする。多くの場合、エキスパートのように振る舞おうとすることは、本当のエキスパートになる助けになる
    • Take Your Licks: 論争しない。顧客のビジネスがどのようなインパクトを受けているかを理解する。自分のプライドを守らない。守れない約束をしない。
    • Aware of Boundaries: 責任外のことを勝手に議論しない。価格、コスト、スケジュール、提供内容などが自分の責任外の場合は。顧客との会話は全て、交渉の一部であることを理解する。
    • Mind Your Manners: 礼儀正しく。顧客の期待に添うドレスを着る
    • Speak Up, Speak Slowly: 英語圏でない顧客もいる。はっきり、ゆっくりしゃべる。アメリカに居住していないとわからない話題や、スラングジョークを使わない。顧客があなたのメッセージを理解しているかどうかを頻繁に確認する

Jeff Patton: Help me see it: Using collaborative sketching to bring product ideas to life [チュートリアル]

セッション概要: http://agile2010.agilealliance.org/ui.html#6341

新たに提供するものを検討するときに、デザイン思考を利用し、アイデアの「発散-収束」を、チームで、手を動かしながら行う手法を紹介するセッションです。本来は2-3日かけてやるセッションですが、180分でパパッとやってみる、と。

参加者に各テーブルで実際に作業してもらって、簡単なアプリケーションの作成と評価を短時間で行いました。

  • Sketching
    • ユーザーシナリオ: テキストベースでユーザエクスペリエンスのウォークスルーを記述
    • デザインコミック: 漫画でユーザの抱える問題と解決をしめす
    • シングルスクリーン: 6画面分を1つの紙に書き出し、アイデアを表現する
    • デザインステューディオ: スケッチやワイヤフレームをチームで議論する
      • スケッチボード法: Adaptive Path の方法 (ビデオを紹介)
  • Design Refinement and Validation
    • ペーパープロトタイプ: 紙ベースでプロトタイピングをして、ユーザに実際に触ってもらう。ファシリテータ役がユーザに作業の説明をし、コンピュータ役の人が画面を差し替える。他の人は観察と記録を行う。

Dinner

恒例の企業ブースでのディナー。久しぶりに会った人との再開と、楽しい出会いがありました。