Agile2010 - Day3 参加報告

3日目の報告です。

Hugh Beyer : The User Feedback Two-Step

UCDの分野では有名な "Contexutual Design" という本を書いた人です。今年、"Contextual Design for Agile Team" という超薄い本をだしました。

User-Centered Agile Methods (Synthesis Lectures on Human-Centered Informatics)

User-Centered Agile Methods (Synthesis Lectures on Human-Centered Informatics)

想定しているAgile+UXのプロセスはこんな感じみたいです。パラレルトラックアプローチといわれるものだとおもいます。

写真左から、3つのフェーズに分かれています。

  • ユーザ調査
  • Big Picture (コンセプト、全体像)
  • Agile Development (実際の開発) = UXとDevの2つのトラック

通常のイテレーションをはじめる前に2つのフェーズを置いていて、ここで、このプロジェクトは誰をターゲットにし、何を提供するのか、というコンセプトをつくります。UXの担当が行う部分です。

開発は、UXトラックとDev(開発)トラックを分け、UXトラックが前工程としてユーザ調査/ワイヤフレーム構築を、後工程としてユーザビリティテストをします。Devトラックの人はワイヤフレームを受け取ってソフトウェア開発を行い、ユーザビリティテストに引き渡します。このようにお互いに次のスプリントで使う材料を相互に受け渡すわけです。

ゲームで体験

しかし、UXトラックとDevトラックの仕事が予測通りスムーズに動けば問題ない訳ですが、予期せぬ障害が発生するため、適応が必要になります。これをゲームで体験するのが今回のセッションのメインでした。

このゲームは、昨年yattomさんがAgile2009で行った「カンバンゲーム」にとてもよく似ています。実際、Hugh Beyer もセッションに参加していたので、深く参考にしたことは想像に難くないです。

あれ、User Feedback の話はどこにいった?

Jeff Patton : Beyond Sprint 0: Using Collaborative Product Discovery to Plan Agile Projects

開発イテレーション(スプリント)に入る前に、どういった準備が必要か?という話。スクラムではスプリント0といいます。

完了の定義(DoD: Definition of Done) をきちんとやろう、という話はよく聞くのですが、Jeff Pattonはさらに「Definition of Ready」つまり開発着手する条件も明確にしよう、ということを提案しています。

会場で集まった Definition of Ready は以下の通り

  • 受入テストが定義されている
  • ストーリーポイントが見積もり済み
  • なぜ作るか、クリアなビジョン
  • 動作するスケルト
  • ユーザがもつ大きなリスク
  • ユーザインタフェースの合意
  • UIやUXをスケッチしたワイヤフレーム
  • プラットフォームアーキテクチャの決定
コンテキストの理解

ソフトウェアの利用にはそれを取り囲むコンテキストがあり、それを理解しなければいけない、と。

OutputではなくOutcomeの最大化

ソフトウェアを開発する我々は、Outcome、つまり、ソフトウェアを使った結果、ユーザが受ける成果を最大化するのが仕事であって、そのために必要なOutput(成果物)はむしろ最小化しなければならない。

ワークショップで製品の方向性を探る

(開発者/デザイナ/顧客などを含めた)ワークショップを行って、製品の方向性を明らかにしていきます。ペルソナ(Pragmatic Persona)やユーザーストーリーマッピングを使って見える化をしていきます。

機能ではなく、Outcome(ユーザのゴール)をよく理解し共有することが重要、ということです。

Gerard Meszaros: From Concept to Product Backlog - What Happens Before Iteration 0?

xUnit Test Patternsの著者のGerard Meszarosさんのセッション。スプリント0でいま、なにをしなければいけないか、を総覧しました。

まとめとしてすごくよくできていると思いました。
資料をもらったので近いうちに訳したいです。