RSGT(Regional Scrum Gathering Tokyo) 2026では、新たに「Pretix」というチケットシステムを使ってみることにしました。チケットはこちらで販売します。
Pretixとの出会いは昨年9月にベルギーで行われたDevOpsDays Antwerp 2024です。ちょうどインボイス制度に対応できそうなチケットシステムの選択肢を探していたところで、最初はそれほど気にしていなかったのですが、オープンソースで自前デプロイもできるということで、品川アジャイルの田上亮さんがかなり調べてくれて、2月のWomen in Agile Tokyo / 運営 in Agile 2025で試すことになりました。当初はセルフホストのDocker版を検討したのですが、そのままクラウドにホストされたpretix.euを使っています。
これまでWomen in Agile Tokyo / 運営 in Agile 2025を皮切りに、スクラムフェス大阪、スクラムフェス三河などで使ってきた実績があり、その使い勝手の良さから今回のRSGTでも採用することになりました。今回は、このPretixについて簡単に紹介したいと思います。
Pretixとは
Pretixは、カンファレンス、フェスティバル、コンサート、技術イベント、ワークショップ、展示会などあらゆるイベントのチケット販売に対応したオープンソースのWebアプリケーションです。ドイツで開発されたこのシステムは、これまでに数千のイベントで使用され、数百万枚のチケットが販売されており、すでに実用性が証明されているとのことです。
主な特徴
1. オープンソース&柔軟な運用
Pretixは100%フリーでオープンソースソフトウェアとして提供されています。GNU AGPLライセンスの下で公開されており、自分のサーバーにインストールして利用することも、公式のホスティングサービスを利用することも可能です。
2. 多言語対応
多言語イベントへの対応が組み込まれており、参加者とのコミュニケーションを複数の言語で行うことができます。グローバルなイベントや海外からの参加者が多いイベントには特に重要な機能です。翻訳への貢献も可能です。
3. 高い拡張性
数千の設定項目と拡張モジュールにより、特定の用途に合わせてPretixをカスタマイズできます。プラグインシステムを通じて機能を拡張することも可能で、必要に応じて独自の機能を追加できます。
4. 包括的な機能
Pretixには以下のような豊富な機能が含まれています:
- チケット販売管理
- 参加者管理
- 決済処理(PayPal、Stripe、SEPA口座振替、銀行振込など)
- クーポン・割引機能
- 座席指定
- PDF チケットの生成・カスタマイズ
- 入場管理(QRコードスキャン)
- レポート機能
- API連携
料金体系
Pretixの運用方法は主に3つあります:
1. セルフホスティング(無料)
自分のサーバーにインストールして運用する場合は、ソフトウェア自体は無料です。ただし、サーバーの維持管理は自分で行う必要があります。
2. Pretix Hosted
公式のホスティングサービスでは、年間500枚までの無料チケットがあり、それ以降は1チケットあたり2.5%の手数料が発生します。ただし、600€を超える高額チケットの場合は、2.5%ではなく1チケットあたり最大15€の固定料金となります。
3. Pretix Enterprise
大規模な組織向けのエンタープライズ版も提供されており、追加のサポートと機能が含まれているそうです。
導入のメリット(Pretixサイトより)
プライバシー重視
ドイツのGDPR準拠で開発されており、データセキュリティがISO 27001認証を取得しています。個人情報保護に関して厳格な基準が求められる現在、この点は大きなメリットです。
環境への配慮
ホスティングサービスは100%再生可能エネルギーで運営されており、環境に配慮した運営が行われています。
豊富な決済オプション
様々な決済サービスプロバイダーに対応しており、参加者にとって支払いしやすい環境を提供できます。
実際に使って感じたメリット
私がありがたいなと思った点は以下の通りです:
日本語対応
日本語訳については、Pretix translateというサイトで貢献者として登録すれば自前で貢献することができます。当初は翻訳率が達してなくて日本語が使えなかったのですが、いつの間にか日本語対応になっていました(やっていただいた方に感謝)。
インボイス対応適格請求書
品川アジャイルのばやしさんがPDFのフォーマットをいじってくれて、国税庁が出している対応要件をカバーする項目が、文字化けせずに日本語フォントでPDFに反映できることを突き止めてくれました。
前回のエントリでも告知をしたのですが、これまでいくつかのカンファレンスで利用した限りでは、各社の経費精算処理で問題があったという報告はいただいておりません。
低廉な価格
価格はサイトに掲示の通りですが、従来使っていたチケットシステムより1%ほど安く(後発だからかな)なるようでした。1%は、チケット代の高いRSGTにとっては、なかなか大きな金額になるのではないかと思います。
PayPal以外の決済手段への対応
今年のRSGTではまだ対応できていませんが、PayPal以外の決済手段として、いずれStripeにも対応可能で、実績もかなりありそうという点もポイントでした。
入場受付アプリPretixSCANの完成度
入場受付の時に使うQRコード読み取りアプリPretixSCANも出来がよく、これまで使ってきたカンファレンスでも、レスポンス良好でした。スタッフの皆さんの方でも特に問題は見つからなかったと認識しています。
API連携の容易さ
品川アジャイルで内製しているDiscordに連携するボットアプリmogiriも簡単PretixAPIに対応することができました。
優れたレスポンスとドイツ品質?!
さらに実際に試してきたところ、日本国内でのレスポンス(画面の反応速度)も大変良く、ストレスなく使えています。設定は従来使っていたものと少し変わるので、概念をつかむのに少し労力を使いましたが、わかってくると、一つ一つの要件のモデリングが優れていると感じる点が多々ありました。
何というか細かいところに手が届く。これまでのサイトでは、少しハック的にテクニックを駆使して、私たちの使いたいように使ってきたところがあったのですが、Pretixはだいたい標準機能でできるケースがほとんどでした。「うわー、よく考えられてる。すごいぞドイツ品質」って言いながら設定するのが恒例行事です。言っているのは私だけですけど。
まとめ
Pretixは、小規模なワークショップから大規模なカンファレンスまで、幅広いイベントに対応できる柔軟性を持ったチケット管理システムです。オープンソースでありながら商用レベルの機能と信頼性を提供し、プライバシーとセキュリティにも配慮されています。
毎年1分くらいで売り切れてしまうRSGTで使うのは初めてなので、ドキドキしますが、こないだスクラムフェス三河ではやはり数分で売り切れていたので、トランザクション的には安心かなと思っております。
2025年7月には、運営会社が「rami.io GmbH」から「pretix GmbH」に社名変更し、イベント業界への製品開発により注力していく方針を明確にしました。同社としても力を入れていく方向なのかなと思います。
これまでインボイス制度対応のチケットサイトを探し始めてから2年弱、Pretixを試し始めてからももうすぐ一年になりますが、まずもって運用に乗るくらいまでこれたことは、皆様のご協力あってのことです。大変ありがとうございます。今後も様々な課題が出てくると思いますが、透明性・検査・適応で対応していければと思います。よろしくお願いいたします。
イベント運営の効率化を検討している方は、一つの選択肢としてPretix検討してみてもいいかもしれません。チケットを販売しなければ料金は発生しないため、リスクなく試すことができます。












































