3月11日に Fearless Change の著者を招いたワークショップを行ないます。著者の Mary Lynn Manns 先生と 前書きをいただいている井庭崇先生になぜいまFearless Change が必要なのか、そして、組織変革の実践的なノウハウをお話しいただきます。
Fearless Change 組織に新しいアイデアを広げるためのワークショップ
http://bit.ly/mannsiba
Fearless Change アジャイルに効く アイデアを組織に広めるための48のパターン
- 作者: Mary Lynn Manns,Linda Rising,川口恭伸,木村卓央,高江洲睦,高橋一貴,中込大祐,安井力,山口鉄平,角征典
- 出版社/メーカー: 丸善出版
- 発売日: 2014/01/30
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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Fearless Change とは
本書は企業などの組織に「新しいアイデア」を普及させたいとお考えの方のために、先人のベストプラクティスを集めたものです。
本書が想定している読者は、自ら組織になにかを起こしたいと考えている人々です。現代社会においては、どの組織も絶え間ない変化にさらされています。組織の運営に明示的な責任を持つ経営層は、イノベーションを起こしていかないといけない、と常に考えているでしょう。しかし、実際のイノベーション(新しいアイデアが)組織内に根付いたり、組織文化の一部として活用され、良い結果を生み出していくためには、その他の人々が自発的に動いていく必要があります。
経営陣が「よし!みんな今すぐイノベーションに飛び込め!」と言っても、そのとおりになるとは期待できない。(P.5)
組織の将来を担うに違いない(実際に数年後に振り返ってみるとそうであったといえる)、そんな新しいアイデアに触れた時、あなたならどうしますか。がむしゃらになって勉強するでしょうか、飲み屋で同僚と語り合うでしょうか、プレゼン資料を作って上司に提案するでしょうか、経営陣にメールや懇親会で突撃するでしょうか。様々な戦術が思いつくかもしれませんが、いったん、頭を冷やして、Fearless Change にまとめられたパターンを眺めてみるのもよいかもしれません。まずどのような人々を、どのような方法で、どういう役割を期待して巻き込むか、そこには先人の知恵に基づく戦術があります。
イノベーション決定プロセスを素早く通り抜ける人もいるが、大多数はもっとゆっくりと動き、一部の人々は他の誰かに強要されないと変化を受け入れない。人はいったいどのように変化を受け入れ、または拒絶するのか、そのばらつきを理解しておけば、個々の人々のスタイルを受け止めやすくなるし、それにあわせて戦略を調整することもできるだろう。(P.8)
もちろん相手と話してみなければ相手がどのように考えているかは掴めません。反対してくるような相手と話すとなると気が重くなります。もちろん、すべての人を同時に相手にすることはできませんが、一方で、難しい相手を無視してばかりでは、普及が頭打ちになりがちです。
懐疑的な人々が、イノベーションの課題を発見する機会を提供してくれることがある。多くの人が、衝突とは避けるべき非効率であり時間の浪費だと考えるだろうが、私たちは衝突を機会と捉えることを推奨したい。衝突によって破壊が起こるとは限らない。(P.11)
実は、懐疑的な人々が提供してくれる情報は、極めて正直なものであることが多かったりします。仲間内だと無視してしまうような懸念なども、口にしてくれるのは、懐疑的な人々です。
変化への抵抗のほとんどは、自分自身のおかれた環境や運命を制御したいという欲求から生まれる。 (P.11)
そうした苦言や注文をアドバイスに変え、一歩一歩アイデアを普及させるための作戦に反映しましょう。もちろん手助けしてくれる人への感謝や協力のお願いを忘れずに。あなたのゴールは決して、新しいアイデアのための予算をとることでも、誰かに強制的に使わせることでも、すぐに組織を飛び出すことでも、飲み屋で同僚と愚痴をこぼすことでもないはずです。未来を担うアイデアが実際に組織で活用され、望ましい成果を生み出してれるよう、一歩一歩進みましょう。
新しいアイデアを普及させる道は、ゆるやかに学びながら前進するプロセスだ。その途中には、後退もあれば、小さな成功もあるだろう。私たちは、まずゆっくりと始めることを推奨する。これから長い時間と忍耐が必要になることは、あらかじめ覚悟しておこう。あなた自身、組織文化、そして組織にいる人々を理解しなければ、あなたの旅は成功しない。 (P.11-12)
3年後の未来を変えるには
組織内で最初にイノベーションを理解をした人々が、その先どのように動くことができるのかが重要です。仲間を巻き込み、着実に実験を積み重ね、活かし方を学び、多くの人が気付く前に必要な準備を終えることができるか?多くの人が振り向くまで、自らの情熱を維持し、待ち続けることができるか?
組織がイノベーティブであるかどうかを左右するのは、そういった人々が起こす小さな行動の積み重ねであり、それによって起こる数々の偶然が、どのように活かされていくかに依存していると考えています。
それはとても計測しがたいものですが、だからといって、戦術がないわけでもありません。
3年かかるかもしれません。5年かかるかもしれません。しかし、いま自分の周りでそれができていないのは3年前に動かなかった自分や、他の誰かの行動の結果であるかもしれないのです。3年前の行動は変えられませんが、今の行動を変えることで、3年後を変えることはできるのではないでしょうか。
偶然を活かすには、準備しておくに越したことはありません。少しだけ、意図的に行動してみるのはいかがでしょうか。
隣の達人との出会い
ワークショップには、他にもFearless Change に興味を持たれていたり、すでに活用されている方々が集まります。お互いに情報を交換し、悩みを聞いてもらい、一歩ずつ前に進む糧にしていただければ幸いです。
価格は4万円とちょっと高いかもしれませんが、通訳や渡航費をすべてこちらの収益でまかなうことにさせていただいておりますので、ご協力いただければ幸いです。