イノベーションの達人! - 発想する会社を作る10の人材

The art of innnovationの人、IDEOの新著です。まだ日本語未出版だったので、英語版の原著を徐々に読もうと決めて購入。しかし数日で日本語訳が出ているのを知ってしまいました。

でも、英語を読むことが目的というより、このIDEOの続編をいち早く読みたいという気持ちが大きかったので、日本語訳をすぐに購入、読みました。

イノベーションの達人! - 発想する会社を作る10の人材


「10も人材タイプがあって、そんなもん覚えられるのかなぁ?」といぶかしみながら読み始めたのですが、読んでいくにつれすぐに氷解。原題で「ten faces(10の顔)」といっているわけで、別に10人の異なる人材に、人間を分類しようとする試みではなく、大事な要素は10個あるんじゃないか、1人で複数持っていてもいいし、ある要素で自分より優れている人がいるなら、コラボレートいていこうよ、という話です。

このあたり、最終章、で述べられていますが、

私はキャラクターの力を奮い起こすことの重要性を固く信じている。人がひとつ新しい役割を身に付けただけで、文化面でもビジネス面でも、組織には大きな利益がもたらせられる。しかし、本当に大きな成果が表れるのは、いくつもの役割を集めて混ぜ合わせ、複合的なチームを作ったときだ。イノベーションは究極のチーム・スポーツである。すべての役割に、それぞれの分野で最高の仕事をさせれば、イノベーションを推進する前向きの力が生まれる。

成功するチームを作るのに、すべてのキャラクターや技能が最高のレベルである必要はない。オリンピックの10種競技と同じように、いくつかの分野で本当にすばらしい成績を上げ、あとはそこそこの強さを発揮すればいいのだ。

ということで、1人が何事にもでトップになる必要もない(できないかもしれない)けれど、各ペルソナ(face)に各1人ずつを割り当てろなんていうことも書いてないです。

また、「T字人間」、すなわち、「ある技能に秀で、それでいて広い好奇心と探究心、知識を持つ」人材は、別分野の知見から新たなイノベーションを引き起こす「花粉の運び手」としてイノベーションに欠くことができない人材として紹介されています。器用貧乏系の人も必読です。

備忘のため、各ペルソナ(face)について一言メモ。

1. すべては観察から! - The Anthropologist : 人類学者

2. 細かいイテレーションを繰り返す! - The Experimenter : 実験者

3. 他分野での実践から学ぶ! - The Cross-Pollinator : 花粉の運び手

4. やりぬく! - The Hurdler : ハードル選手

5. うまく協力する! - The Collaborator : コラボレーター

6. 方向性をみきわめ、チーム全体に気を配る! - The Director : 監督

7. ユーザ経験をデザインする! - The Experience Architect : 経験デザイナー

8. 仕事場の環境を整える! - The Set Designer : 舞台装置家

9. 心配り、スマイルで癒す! - The Caregiver : 介護人

10. 経験を語り、文化として引き継ぐ! - The Storyteller : 語り部

いろんな人に読んで欲しい本です。