読みかけ書評: イノベーションへの解 その2

引き続きイノベーションへの解

The Innovator's Solution

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4798104930/

を読んでいます。

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「第6章 コモディティ化をいかにして回避するか」のエッセンス。

バリューチェーンのどこでお金がとどまるのか。

PC産業の例では、

顧客がデスクトップPCメーカーに支払った金のほとんどは、

実際はデスクトップPCメーカーには残らない。

OS(マイクロソフト) や CPU(インテル)に流れてそちらに残る。

DRAMに流れたお金はDRAMメーカには残らず、

製造装置を製造する業者(アプライドマテリアルズ)に流れてそちらに残る。

HDDに流れたお金はHDDメーカには残らず、ヘッドやディスクのメーカに流れる

傾向がある、と。

機能的に大変優れており、技術的に高度なHDDメーカに

利益が残らないのはなぜか。

筆者は、

市場で「製品の機能がすでに十分に優れている」場合には、モジュール化が進む、とする。

相互依存型 - 高度な独自性のある製品。高コスト高収益。

モジュール型 - 部品の互換性が進み、コモディティ化する。低コスト低収益。

モジュール化が進むと、本体は低収益になるが、

その反面、構成部品の中で独自性の高いものが、逆に高収益になったり、ということが起こる。

代表的なプロセスとしては・・・、

顧客が市中の製品の性能に満足すると、価格の競争圧力が生じる。

そうするとメーカにはコスト低減圧力がかかる。

各部品をなるべく出来合いのものを使うという、コスト削減努力が行われることが多い。

部品メーカは規模の経済でもって、組み立てメーカよりもコスト競争力のある、

優れた部品を作ることができるので、そちらに委託することで資産を減らしコストを下げる。

株主やアナリストも、不要な業務は外部に出すことで利益の維持に賛成する。

しかし、そうやってコストを下げるうち、いつの間にか、自分自身のやることが

なくなってしまい、付加価値の源泉がすべて部品メーカに移ってしまったことに

気づくことになる。

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感想。

この例は、ちょっと典型的すぎるような気がしますけど、

外部業者をどのように使うか、その関係をどのようにメンテナンスしていくか、

というのは、結構、深刻な問題だと思います。

基本的には、技術や時間が足りないから外部に頼むわけですけど、

仕事が一段落してだんだん効率化すると、トータルでは「人あまり」になります。

そこで、外部を減らすか社内の人材を減らすか。

技術が足りない場合は、外部を減らすわけにもいかない。

そして技術は外部にのみ蓄積していく・・・。

ちょっと悲観しすぎかもしれませんけど。

そういう状況に陥らないように、自分でやろうとすれば、

スピードが足りないとか、品質が悪いとか、そういうリスクに

さらされるんじゃないかというプレッシャーがかかる。

「あれもこれも自分の仕事」と言いはじめたらキリがないのと同様に、

「それは自分の仕事じゃない」と言いはじめたらキリないんです。

自分でやるほうが利益は取れるけど、どうでもいいことまでやっているわけにもいかない。

その答えは、実際はそんなに簡単に割り切れるもんじゃないんでしょう。

コアコンピタンスへの集中」という大義名分のもとに、

自分の持つ理想像に向かって自分たちの仕事を絞り込んでいく、

ネットバブル期によく見られた「アライアンス」モデルの

行き過ぎた点を、筆者は指摘しています。

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ここからは蛇足・・・。

特にアメリカではインドへのアウトソースが劇的に進んでいると聞きますが、

企業収益向上するが雇用は回復しない「ジョブレスリカバリー」といわれています。

日本も似たような状況なんでしょうけど・・・。

米国は移民もあって人口が増える。

日本は少子化で人口が減る。

先週の日系ビジネスは早くも「人不足」がテーマでした。

ホントかよ、とツッコミたくもなりましたけど、あながち外れてないのかも。