「問題をいたいほどよく知っている人」が、熱意を持って改善のために努力するということ。
こういう人がいると、プロジェクトはうまくいくと固く信じている。言葉は悪いが「熱意ある共犯者」と定義したい。
2009年に参加した参加したカンファレンスで、住友信託銀行(当時)の小吉文子さんのセッションに参加して、こんなことを書いていた。
人事や総務といった業務担当の方を支援する仕事に最近関わらせてもらっていて、開発部門を支援するのとはまた違った趣があるのだけど、成功要因の根っこにあるのは、こういうことなんじゃないかという思いを強くしている。
ずっとこの思いは変わっていないし、誰かと仕事するときには指針としている。変化は情熱のあるエバンジェリスト(イニシエーター)から起こるものだろう。
もちろん仕事には様々な要因が影響し簡単ではない。共犯者の情熱も有限なので、途中で諦めてしまったり、中断して時期を待つこともある。元々の計画が挑戦的すぎて立ちゆかなくなることもある。しかし、火種がなければ火はつかないのだ。
自分がその火種なら、できることはなんでもやろう (Fearless Change のエバンジェリストパターン)。支援するマネージャーやコンサルタントやコーチなら、そういう人を探して手助けしよう。
以下、当時のブログから。
2009-11-05
DESIGN IT! Conference 2009 クラウド時代のユーザーエクスペリエンス(11月18日)
AgileUCD
http://kawaguti.hateblo.jp/entry/20091105/1257356060
住友信託銀行の小吉さんのセッションは、実は今回一番感動したセッション。
- もともと銀行窓口業務をやっていて、複数のツールを組み合わせて使わなければならない現状に、「なんでこうなっているんだろう」と疑問をもっていた
- ユーザビリティに着目した窓口新システムを作るための、インタビューが来て、「私がやらなければ」と思い、作る側にまわることになった(システム開発のことは全く知らないけど、勇気を持って飛び込んだ)。
- 開発手法は、プロトタイピング + ウォーターフォールと定義していた
- 現場の意見を聞き出したり、人が集まる会議で実際に使ってもらって、開発者が後ろで観察したり。ユーザビリティの手法をソシオメディア社からコンサルしてもらって、やった。
- 現場のスムーズな移行も気を使って行った。
- 1つの業務フローの例では、 3画面が1画面になり、入力が1/3になり、180秒が30秒に短縮されたとのこと。
- 経営向けのアピールも行っていて、「現場の声」+「ユーザビリティ」を組み合わせてアピールすることで、システムの必然性と有用さをアピールした。
- 企画担当と、開発担当は同席で作業を進めた。
感想
- なにより、小吉さんのパッションに感動した。涙でた。
- 「問題をいたいほどよく知っている人」が、熱意を持って改善のために努力するということ。
- こういう人がいると、プロジェクトはうまくいくと固く信じている。言葉は悪いが「熱意ある共犯者」と定義したい。
- UCDとアジャイルのメソッドを取り込むことで、開発者にも現場にも納得感の高いシステムづくりができたようだ
- 企画者も開発者も悩みは多かったとのこと。いや、それは正常な悩みだと思う!あなたが悩むことで、他の多くの人の悩みが取り除かれる。それがシステムづくりってものじゃなかろうか。