ストーリー、エピック、テーマ by Mike Cohn

アジャイルな見積りと計画作り」の著者マイク・コーンさんがブログで、「ストーリー」と「エピック」の使い分けについて説明していましたので、だいたい訳して載せておきます。
ちょうど最近、ストーリーとエピックについてご質問をいただいたので、これを参考にしていただけるとうれしいです。

ストーリー、エピック、テーマ ( STORIES, EPICS AND THEMES by Mike Cohn)

http://blog.mountaingoatsoftware.com/stories-epics-and-themes

最近、「ユーザーストーリー」「エピック」「テーマ」の違いがわからないというメールを受けることがだんだん多くなってきている。今回はこれらの用語を説明する事を通じて、基本的な(でもとても役立つ)領域に立ち返り、確認していく。


まず、この用語にはあまり深い意味はない。この用語には、プログラマにおける「ポインタ」だとか、誰かにおける「債務担保証券」のような特別重要な意味があるわけではないのだ。ストーリー、エピック、テーマは単にチームが行うディスカッションをシンプルにするために使う。その起源は、初期のXP(エクストリームプログラミング)まで遡る。そして業界標準として使われるようになった。しかし、この用語がなかったとしても、(同じ事を意味する)あなた自身の用語を作っていただろう。


それぞれの用語の意味をみていこう。


ユーザーストーリーは、単にユーザーが望む何かである。ストーリーというのはインデックスカード上に書かれた文章だけではないが、私たちの目的では、ユーザーストーリーといえば「月次売上報告をページ分割する」や「請求書上の税の計算を修正する」といった文章のことを思い浮かべる。多くのチームが「〜として | だから〜」の形式でユーザーストーリを書く利点を学んできた。しかし、この形式でないといけない、というわけではない。この形式の利点については、本サイトの別の場所で紹介している。


エピックは、大きなユーザーストーリーだ。ストーリーとエピックを呼び分ける明確な境界線はない。単に「大きなユーザーストーリー」というだけだ。私はよく、これを映画に例えて考える。もし私があなたに、ある映画が「冒険活劇映画」だったことを伝えたいとすると、私は映画について何か説明するだろう。その映画にはカーチェイスや銃撃なんかがあるだろう。そこには特に決まった定義がある訳ではない。冒険活劇映画には少なくとも3つのカーチェイスと45発の銃撃がなければならない、などということはない。


だから、「エピック」は大きなストーリーにつけるラベルにすぎない。あるストーリーをエピックと呼ぶ場合、追加の意味あいを伝えることになる。いまあなたが、私が昨日、システムの月次報告の部分に関するユーザーストーリーを書いたかどうかを、聞きにきたとしよう。「ええ。でもほとんどはエピックです。」と、私は答える。この場合、書くには書いたが、すぐ実装できそうなくらいのブレークダウンはできなかった、という事を意味する。


最後の「テーマ」はストーリーの集合である。月次レポートについて書いた一連のストーリーを輪ゴムでとめれば、「テーマ」と呼ぶ事ができる。ストーリーをまとまりで考えると有効な場合があるので、私たちはこの用語を作った。前述の映画のアナロジーを用いるなら、ジェームズ・ボンドの映画をまとめた私のDVDラックにあたる。テーマ、またはグルーピングといってもいい。


この短い説明が、あなたの役にたつ事を願っている。ぜひ、あなたの考えを聞かせてほしい。
(翻訳おわり)


アジャイルな見積りと計画づくり ~価値あるソフトウェアを育てる概念と技法~

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