大学に出るまでの18年間育った土地に、
「大坂(おおざか)」と呼ばれる坂があった。
たいして大きな坂でもないのだけれど、勾配が急で、S字カーブしているのが印象的な坂だった。
坂の上側は畑地帯で、坂を下りると田んぼ地帯(田んぼは小学校のうちにどんどん畑に転換されていった。米減産、商品作物への転換である)。
小学校からの帰り道、大坂を登りきってしまうと、程なく家についてしまうので、大坂は最後の遊び場である。
しゃべりながら、遊びながら、だらだら登ったものだ。
ススキで手を切ったさ。
けんかもしたさ(弱いけど)。
きっと子供なりに楽しい思いもいやな思いもしただろうけど、あんまし覚えてない。
ただ、ただ、懐かしさが心に残る。