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Web+DB Press Vol.78 「実践スクラム」

Web+DB Press Vol.78 の特集が「実践スクラム」ということで、拝読いたしました!
WEB+DB PRESS Vol.78

第1章 なぜスクラムをはじめる必要があるのか 栗林健太郎 (paperboy & co.)
第2章 スクラムチームの心得 柴田博志 (paperboy & co.)
第3章 スクラムの基本 家永英治 (永和システムマネジメント)
第4章 スクラムの実践 原田勝信 (mixi)
第5章 スクラムの導入 和島史典 (peparboy & co.)

第1章 なぜスクラムをはじめる必要があるのか 栗林健太郎 (paperboy & co.)

ソフトウェアの正体は目に見えないもの、そして複数人が関わって作るためにコミュニケーションの課題がある、という点から、「ソフトウェア開発は難しい」という点を説明されています。その上で、なぜそこでスクラムが有効なのか、その有効な要素というのはどういうものか、と順に説明してくれます。

前述のとおり定義されたスクラムにおいて、その実効性を担保するものとして「透明性」という概念が掲げられています。開発プロセススクラムを導入し、どれだけ一生懸命その実施に取り組んだところで、透明性に欠けているようでは効果は期待できない、という重要な概念です。

その上で、成果物(プロダクト)と、プロセスの透明性をどうやって確保するか、という点を説明いただいていて、いいな、と思いました。わからない問題は直せないので、問題が顕在化しない場合は、あとで利子付きで借金を返すことになります。この点は、技術的負債もそうですが、成果物も組織も同じではないか、と考えていますので、とても共感できました。

スクラムの説明のあとに、スクラムの前に行う手法として、リーンキャンバスとインセプションデッキを紹介されています。ビジョンとプロダクトデザインがないまま、闇雲に進まないよう、どうしてそれをするのかをチームとしても共通認識を持って進めたいですね。

第2章 スクラムチームの心得 柴田博志 (paperboy & co.)

チーム、プロダクトオーナー、スクラムマスター、ステークホルダー、完了の定義について説明しています。プロダクトオーナーがWhyを明らかにし、スクラムマスターがHowを支援するという説明がとてもしっくりくると思いました。

スクラムを推進する役目はスクラムマスターにあります。たとえばリリースを急ぐあまりプロダクトオーナーが開発チームに直接指示を行った場合、こえはチームの自己組織化を阻害する要因になりますので、スクラムマスターが間に入ってプロダクトオーナーに注意する必要があります。

ここで説明されているとおり、スクラムマスターが「推進」するのは進捗ではなくプロセスの健全性という点が重要と思います。

第3章 スクラムの基本 家永英治 (永和システムマネジメント)

スクラムのスプリントにかかわるイベントについて説明しています。まずスプリントとプロダクトバックログ、ベロシティについて、そして日々の確認であるデイリースクラムについて。最後に、バックログのリファインメント、レトロスペクティブ(ふりかえり)と順に説明が進みます。

スクラムでは、開発の進め方の詳細については言及しておらず、開発チームに任されています。開発チームこそが自分たちの仕事の進め方をよく知っているはずだからです。たとえばビルドの自動化のほか、環境構築やデプロイの自動化を推し進め、アイデアの段階からリリースまでを安心して素早くできるように工夫を重ねます。

第4章 スクラムの実践 原田勝信 (mixi)

mixiさんでの実践について語られます。まずプロダクトバックログについて。ユーザー目線、相対的な見積もり、受け入れ基準、優先順位などがこれまでのやり方に対して違う点としてあげられています。

mixiではプロダクトオーナーの「経験と勘」で優先順位を決めていたことが多くありましたが、開発チームとの認識のズレや、それに伴うモチベーションの低下などが起きました。経験と勘という方法は天才的なプロダクトオーナーの下では機能するかもしれませんが、一般的にはかなり難しい結果になってしまいがちです。

続いて、スプリントプランニング、デイリースクラム、完了の定義、スプリントレビュー、レトロスペクティブについて順に紹介されています。開発を進める上では、マイクロな判断と意思決定が無数に行われますが、スクラムのイベントを手本として、なにを、どの辺で、明らかにしていくのか、というところに重点が置かれていて、わかりやすいと思いました。

第5章 スクラムの導入 和島史典 (peparboy & co.)

最後の章は、スクラムそのものではなく、ペパボさんでのスクラム導入にあたって、途中でみつかったことを整理されています。「やってみたこと、わかったこと、良かったこと、次にやったこと」というフォーマットになっています。プロダクトバックログの作成、カンバンの作成、デイリースクラム、スプリントレビュー、スプリントレトロスペクティブについて。

「図1: 付箋の書き方見本」 はみんな真似したらいいと思います。

スクラムマスターは「お母さん」だと思います。プロダクトオーナーは「頑固な親父」、チームメンバーは「思春期の子ども」で、その間を取り持つのがスクラムマスターです。基本、スクラムマスターはタスクを持ちません。スプリント計画に影響を及ぼす要因をいかに調整するか、いかに親子喧嘩をうまく収めるかが仕事です。


とてもよい特集だと思います。
ありがとうございました。