教育心理学概論 三宅芳雄, 三宅なほみ

一昨年来、読書会をしたりしてアジャイル界隈で言及されている「教育心理学概論」はこちらです。放送大学のテキストで、他の先生からも同名で出ているのでご注意ください。講座用のテキストとして制作されたものですが、「人は学び続ける動物である、なぜならば」という問いからはじまる、故三宅なほみ先生の思考の展開を垣間見ることができる良書です。一章だけでもおすすめ。

「人は、学び続ける動物である。なぜそういえるかというと、人が問題を解いていたり、新しい問題の解を見極めたりする時どういうことが起きているかを詳細に観察してみると、人は、何かが少し分かってくると、その先にさらに知りたいこと、調べたいことが出てくることが多いからだ。人はなにも知らないから学ぶのではなく、何かが分かり始めてきたからこそ学ぶ、ともいえる。」(第一章 P.13-14)

子供の学びの過程とその効果についての実際の研究について言及した後(教科書なのできちんとしてます)、職業上の学び、組織での学び、ITを使った学びの支援なども展開されます。 個人的にはアジャイルとパターンと認知心理学が一つに繋がった本だと思いました(個人の見解です)。

著者の三宅芳雄・なほみの両先生は、認知心理学を学び、認知科学という新たな学問分野が生まれたときに、アメリカでそれに立ち会ってきたバリバリの研究者です。その後、日本に戻り、コンピュータのヒューマンインタフェースや、学習の仕組みをずっと研究してこられました。近年は大学を始めとして小中高の教育現場に自ら立ち入り、現場の先生方と協力して、研究の前に、研究対象となるべき「よい教育現場」を作るために尽力されてきました (  東京大学 CoREF |  )。 

 

 

 

教育心理学概論 (放送大学教材)

教育心理学概論 (放送大学教材)

 

 

 ちょっと手ごわいな、とおもったらぜひ、他の人と集まって協調的に読んでいみると良いと思います。そんな場所もあります。川鯉さんによる勉強会はこちら

educational-psychology.connpass.com