仮想化の論点を整理

 = VMWorld 2007 =
 == Thinking ==

 * なぜVM/Virtualizationか
   * 利点
     * 資源仮想化: アプリケーションに対してハードウェアリソースを割り
    当て、資源を有効利用するアイデアは、メインフレームの
    TSS(TimeShareringSystem)まで遡る。
    TSSはOSの中での資源配分のみであったが、これをシステム全体
    のレベルに拡張するのがSystem VM(以下VM)である[1]。これにより
    資源の遊休時間を少なくし、効率的に利用できるようになる。
     * ハードウェア間移動: VMはファイルであるため、ハードウェア間の
    移動が容易である。またスペックの異なるハードウェアにも移動できる。
    稼働中に常に予備マシンにミラーリングしておき、故障時には予備
    マシンが無停止で処理を引きつぐ技術(VMotion)もある。
     * マルチOS: 複数のOS環境を一台の物理マシンで同時に動かすことが
    できる。また、あらかじめOSインストール済みのVMファイルをコピー
    することで、時間のかかるOSインストール処理が不要となる。
     * ネットワーク仮想化: 異なる役割のサーバを一台の物理サーバに
    集約することで、サーバ間接続にLANケーブルやルータなどの
    物理設備が不要になる。

   * 技術的背景
     * CPUの収斂: コンピュータが単一(IA-32/x86)プラットフォームに移行し、
    VMM層での命令の翻訳が不要になり、VMは少ないオーバヘッドで
    動作する。2006年にx86サーバの数はRISC他のサーバ数を
    上回ったとされる。
     * マルチOS: WindowsLinuxSolarisなどのOSが用途によって利用
    されている現状。
     * ストレージ: SAN技術により、高速大容量の共有ストレージが利用
    できるようになった。SANにVMファイルを設置することで、各物理
    ハードウェアにVM環境をコピーしなくとも、動作するようになった。
    遠隔地へのサーバ複製でも利便性が高いと考えられる。

   * その他背景
     * 災害対策: 9.11以降、災害対策(DR)の需要が高まった。
     * 電源問題: 物理サーバの数は減らさなければならない。

 * 参考資料
   * [1] Smith, James E. and Nair, Ravi. 2005. Virtual Machies. 
     Elsevier. pp.369

 * 蛇足
   * "仮想"・"バーチャル": 日本語のもつ偏ったイメージ?
     * 一般的なイメージ: 本物に似せた偽物。
       * 仮想化現実(Virtual Reality)からバーチャルという日本語が定着
     したため?
     * 辞書: 
       * virtual:
       	 * 1.[限定](名目上はそうではないが)実質上の,事実上の,
       実際上の, (ジーニアス英和)
       	 * 1. so nearly having or being a particular quality, condition, 
       position etc. that any differece is unimportant. 
       (Longman Advanced American Dictionary 2000) 
       なんらかの質、状態、位置をほとんど保持しており、
       重要な点の差異が存在しない状態。