楽しさを崩さずにどこまでいけるか

人間関係というものは、楽しくやれてれば、とりあえずそれでいいわけで、仕事というのは、それを崩さずに、どこまで効率的に成果を出せるかの勝負なんだと思っている。そんな自分に気がついたが、それが正解かどうかは全くわからない。

たぶん、大学院の頃に自分達より楽しそうにみえる研究室が成果出してたのが原体験の一つだと思う。もちろん学生の能力や人を集めたり、育てるプロセスも違ったのだろう。ビシビシやる方が育つパターンや状況だってきっとある。

私は一生懸命やってる人たちに「そのやり方じゃダメだ」というのは得意じゃない、というかほとんどできない。だから、とりあえず困っていることってなんなんですかね、という話をする。そこをきっかけにみんなで話してもらう。スキルも状況も様々だから解決法も様々だ。うまいチームもあれば、なかなかうまくまとまらないチームもある。

アジャイルを指導している人たちの中では、「まずふりかえりをやったらいい」という意見は多い。たぶんそうだと思う。でも、なんらかの問題への解決策としてチームで出てきたのでないなら、やっぱりなかなか根付きにくいと思う。

研修で人々を見ていると、みんなで意見を出してまとめる、という進め方のコツがちょっとだけ足りないんじゃないだろうか、という気がすることがある。新しい意見を出す、ということと、まとめる、ということは割と背反する行為なので、自分から意見を出すことに、成功体験を持っている人が意外と少ないのかもしれない。

アジャイルでは、よくカードを使う。トランプのカードというより、もうちょっと大きくて自分で書き込める「インデックスカード(情報カード)」というものだ。日本だと付箋を使うことの方が多いだろう。これは、アリスターコバーン氏によるとXP(エクストリームプログラミング)の人たちが持ち込んだ手法のようだ。

「こんにちは、私は xx です」というやり取りが一周した後、車座に座って、お互いをしばらく凝視した後、誰かが言った。「我々は、アジェンダ(今日話す議題)をどうやって作ればいいんだろう?」すると、誰かがアジェンダ項目をインデックスカードに書くことを提案した。XPの人たちは研修用にインデックスカードを持ち歩いていたのですぐに取り出して書き始め、書き終わったものを中央の床に放り込んだ。

とにかくたくさん書いてもらってから、みんなでまとめていく。進め方にも一定の工夫が必要だ。考えすぎちゃってなかなか書けない人にどうアプローチするかとか、同じことを何度もいう人にどう気持ちよく収まってもらうかとか、シーンとしちゃうと気分が良くないのでどうやってあっためるかとか。一定の時間だけ集中して進めるのも大事な要素だ。

ここでも楽しさは重要で、そうでなければ、問題と向き合ったり、自分が考える正しいことを言う、という行為に不必要なプレッシャーがかかってしまう。恐怖は最大の敵だ。