スクラムのコミュニティの皆さんと訳したスクラムマスターに関する本が出ます。開発チームの支援にとどまらず、組織全体でのスクラムマスターの働き方について、幅広く言及した本です。
SCRUMMASTER THE BOOK 優れたスクラムマスターになるための極意――メタスキル、学習、心理、リーダーシップ
- 作者:Zuzana Sochova
- 発売日: 2020/09/09
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
そのコンセプト「スクラムマスター道 ScrumMasterWay」はこちらのサイトに手短にまとまっています。
このサイトの翻訳は永瀬美穂さん。本書では日本語版序文をお願いしました。
ちなみにもう一人日本語版序文をお願いしていまして、ロッシェル・カップさん。原著でお読みいただいて、ご推薦をいただきました。
【7日目】『The Great ScrumMaster: #ScrumMasterWay』(Zuzana Sochova著)https://t.co/bg8sRLEVVB
— ロッシェル・カップ (@JICRochelle) May 12, 2020
これは一番最近読んだ本です。この本は友達が今日本語版を用意しています。私は序文の寄稿が依頼され、とても光栄です。
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この本の面白いところ
この本のどこがおもしろいのか、といえば、ちょうどさっきFacebookにこんなことを書きました。
スクラムマスターの本なのに、まるで組織そのものの隠れたプロダクトオーナーのようなビジョンを持ってるところですこれをエグゼクティブ向けに書いてないあたりは、いかにもスクラムだと思う。傾聴や促し、コーチングなどの知識は深くて果てしないものなので、あえてそこに深く立ち入るのではなく、ポインタと簡潔な説明で済ませ、組織全体に目を向けさせようとする。開発チームやスクラムマスターが初期の成功のあとで、しばしば内向きになってしまうことを戒めている。プロダクトオーナーであれば、ビジネス的な結果が出ないことで間違いを否応なく知ることになるが、開発チームやスクラムマスターは、自ら目線を上げない限り、Us and them (あいつらわかってない)になりがちなのかもしれない。少なくともスクラムマスターは、長期的なチームの成功を目指して、様々なリスクを顕在化し、一つ一つ潰していく手助けをしないといけないのだろうと思う。テストはこけるし、UIはいけてないし、コードは腐っていく。人は痛みに慣れる。いつのまにか、焦燥は当たり前にとって変わり、安定は慢心に変わって足元を脅かす。改善し続けないといけない。コストを下げ、当たり前をアップデートする。目に見える戦いが始まる前に、勝っておかないといけない。オペレーショナルエクセレンスを実現するために、今日何をするのか。ヒントをちりばめ、調べやすく整理してくれている。
翻訳作業の過程も面白いので、これは折に触れて訳者陣から発表されていくものと思います。同じく自分のFacebookより。
しかし訳者陣が一人として同じ組織にいないのが面白い。コミュニティで集まって訳した、というのがバッチリ当てはまる。たまにZoom集まって、くだらない話をしながら、淡々とリモートモブプロで訳をみていく。コロナがきたことで期せずして当たり前になったこの働き方を、昨年からずっと探求してきました。リモートワークでも全然変わらず働けているのは、この翻訳作業によるところも結構あります。楽しかったです。ありがとうございました。
原著はこちら
アジャイルではおなじみ、Mike Cohn Signature Series です。
書いたのは Zuzana Shocova (ズザナ・ショコバ) さん。チェコにおられる認定スクラムトレーナーです。チェコのアジャイルコミュニティイベントを立ち上げた人でもあるそうです。カンファレンスで何度かお会いしていて、「あなたはどこにでもいるね」と言われております。
RSGT2021で基調講演していただきます
この出版のタイミングもあり、Regional Scrum Gathering Tokyo 2021 では基調講演をお願いすることになりました。左上の赤髪の女性がズザナさん。
おたのしみに!