アンチハラスメントポリシーへの逸脱に対する対応方針をまとめました

この記事は、スクラムギャザリング&スクラムフェス Advent Calendar 2022 - Adventarの二日目の記事です。サッカーワールドカップでスペインに逆転勝利して今日は休みにしようと皆さんが盛り上がっているときに誰が読んでくれるのか不安ではありますが、記念に公開いたします。サッカーにちなんでハッカー文化の話も出てきます。

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アドベントカレンダーなのに業務連絡っぽくなってしまって恐縮なのですが、最近ハラスメントポリシーへの対応についてみんなの思いを文章化する作業をやってましたので紹介させてくださーい。

ポリシー作ったのはいいんだけど、ポリシーの運用って実は地道に大変な作業だったりします

なので、アジャイルの文化はルールも含めてコストを考えながらやるというのが定石かなーと思います。技術プラクティスであれば、Ruby on Rails が有名にしたCoC(設定より規約)とか、誰かアーキテクトが作る基準より、可読性の高いコードとテストを継続的にメンテナンスしてリファクタリングを繰り返して、次の変更(=ビジネス機会)に堪えるものにしておこうとか、そういう話をやるわけです。チームのプラクティスであれば、フォーカス(集中)を作るために、スプリントとかプロダクトバックログに集約して、作ってフィードバックを受けて、レトロスペクティブでプロセスを見直しましょうとか、やるわけです。なるべく楽に本質に向けて進めるようにしたいというハッカーの三大美徳(怠惰/無精・短気・傲慢)だったり、人々が一緒に何かをするときにはHRT(謙遜・尊敬・信頼)をベースにしよう、という考え方にそって、どうやって運営していくかという話に共通しているかなと思います。

そしてどんな高邁な理想がポリシーに具現化していても、運用というやつがあるわけです。実際にそのポリシーが効力を発揮して、役に立っていなければ、TDDの考え方をよくお分かりの方であれば、テストに失敗するわけです。まず失敗させることも重要だし、それに対応して常にグリーン(正常)を確認する作業が一番重要で、それがなければ改善しても価値がない(コストだけがかかる)。なので、アタックしていただくことは重要だし、それに対して我々は適切な運用を生み出していけるわけだと思うんです。

ということで、今回作りました声明は以下です(前置きが長くてすみませんでした)。

アンチハラスメントポリシーの逸脱に対する対応方針をまとめました

スクラムフェスやスクラムギャザリング東京ではということで、ハラスメント行為への関心を高め、関連する行為が行われないようにしたいとの思いで、オープニングトークでアンチハラスメントポリシーについてのお話をさせていただいております。

その中で、11月に行われたスクラムフェス札幌にて、ハラスメント行為の被害を受けている、というご報告をいただきまして、その対応を札幌実行委員の方で行いました。具体的には報告の方から詳しくご事情を聴き、また、どうしたらよいかを話し合うということをしています。また今回については直接ハラスメント行為の当事者(加害者側)の方にもコンタクトして、お話をさせていただきました。加害者側の方にハラスメントの認識はないと思われるので、本件は被害者側がそうとらえている、という事実をお伝えすることがまず解決や再発防止への一歩目になるのではないかと考えております。

こうした対応については、できる範囲で行っていきますので、ハラスメント行為を受けていると感じた方については、ぜひ実行委員に個別にご報告いただければ幸いです。

一方で、「実行委員から謝罪すべきだ」というご要望もいただきましたので、その点についての対応について話し合い、実行委員としての見解を明らかにしたのがこの文章です。

https://scrumgatheringtokyo.org/statement_for_our_action_to_anti-harrasment_policy_20221201.pdf

アンチハラスメントポリシーの逸脱に対する対応についての声明 (画像は一部)

アンチハラスメントポリシーの逸脱に対する対応についての声明

スクラムフェス札幌スタッフ、および、各地スクラムフェスとスクラムギャザリングの実行委員の方に回送し、ご意見をいただきながら文面を推敲して現在の形になりました。(詳細のケース内容については個人情報保護の観点から札幌スタッフのみにとどめています。)

謝罪については、基本的にお断りすることにしました。私が理解する限りで、以下ような意見があり、こうした結論に至っています。

  • 実行委員およびスタッフに運用上の過失があったとは認めがたいこと。
  • 「ともかく代表者が謝る」という行為ではアンチハラスメントの目標が達成できるとは思えないこと。
  • (この点は単に実行委員の文化的背景に過ぎないので皆さんに同意を求めるものではないですが、) スクラムの重要な文化は、自己組織化・自己管理だと考えているので、それに照らしても、代表者等の謝罪、というのは適切な処置とは思えない。むしろ一般的には問題をうやむやにする行為に近いのではないだろうか、という気がかり。

今回のハラスメント行為のご報告について、一同、心を痛めております。また必要と考えられる対応も、実行委員の負担を考えながら、できる範囲で行ったつもりです。

報告者のプライバシー保護の観点から、個別の事象は公開しませんが、ポリシー運用に関する一般的な対応については議論を行い、各実行委員の代表者の方の同意をおおむねいただきました。

今後の健全なカンファレンスや議論の運営に向けて、皆様のご協力を何卒よろしくお願いいたします。