ユニバーサルデザイン と 唯一の最適解神話

人づてに小耳にはさんだ話しで、こんなのがありました。

ユニバーサルデザインとは、すべての人が同じ道具を使うこと」

・・・ええーっ?!

ユニバーサルデザインとは、

「なるべく多くの人に使いやすい道具を作ること」

ないし、

「ある一定の人にとって、とても使いづらかった道具の欠点を

解消していこう、という運動」

だと認識します。

そういう意味では、「すべての人が同じ道具を使うこと」が

意味するところの、すべての人が同じ規格の道具を使う

ユニフォーム的なアプローチは、まったく対極だと思います。

うーむ。こんな誤用がどうして生まれるのでしょうか。

理解できないなぁ、と思っていたのですが、ひとつの仮説を思いつきました。

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命題A:「ユニバーサルデザインとは、なるべく多くの人に使いやすい道具を作ること」

命題X:「ユニバーサルデザインとは、すべての人が同じ道具を使うこと」

とします。

これから3つの展開を入れて、命題Aを命題Xにつなげていきます。

もし漠然とした「道具」だとイメージしづらいならば、

「ハサミ」「マウス」「車」「机/椅子」あたりをあてはめて考えてみていただければ、と。

[マーケティング的 論理展開1]

命題Aの目指すところを突き詰めると、実はひとつの道具で誰にでも使いやすい

ものができてしまうかもしれない。

もしできるのであればすべての人にとって素晴らしいことです。

しかも、工業製品としても、1種類でよいならば最も量産効果が得られます。

よし、商売としては、これを目指そう。という展開が出てくるのかも。

命題B:「ユニバーサルデザインの結果、すべての人に使いやすい道具ができる」

[マーケティング的 論理展開2]

売りたい製品があって、これがユニバーサルデザインを考慮した製品だと

いうことに(社内的には)なっている場合、

それはすなわち命題Bをクリアできる製品、ととらえると、

一種類ですべての要求胃を満たせるんだから、どんな場合にも自信を持って

この製品をあてはめて問題ない、ということになります。

命題C:「ユニバーサルデザインの道具を利用すれば、一種類の道具に統一できる」

[マーケティング的 論理展開3]

命題Cでもってセールスされた人、それなりの企業であれば購買担当者などが

あたるのでしょう。彼らはさらに社内に対してマーケティングをする必要があります。

費用は安い方がいいが、不満/問題が出る製品は導入しない。

しかし、命題Cが満たせる製品であれば、多少高くてもメリットがあります。

価格が高い部分のプレミアム分は、

-一種類に統一することで、その後のメンテナンス費用の低減につながる

-「使いやすいから高い。」これは説明しやすい。

ということで納得します。

さらに、できるだけメリットを得られるように、この製品に統一したいですよ。

命題Cをクリアする製品なんだから、それも可能だということになっちゃいますね。

命題X:「ユニバーサルデザインとは、すべての人が同じ道具を使うこと」

…というわけで、命題Aから命題Xにつながりました。

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いかがでしょう?

それぞれの人がちょっとだけ自分の思惑を入れて解釈をすることで、

伝言ゲームの結果、まったく正反対の理解が得られてしまうことも、

もしかしたらあるのかナァ、という想像に基づいた仮説です。

こういうことは、世の中的には、広く発生してしまっているんでしょうかねぇ?