業務知識を持たないリーダーで大丈夫か?

2017年1月に米Microsoftに遊びにいって感じたことを、そのあといろんな人に伝えてきたのですけど、ブログには書いていなかった気がしますので、年頭にあたり書いておきます。

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機動警察パトレイバー アーリーデイズ | Netflix (ネットフリックス)

ツアーの際に現地で講演してくれた方の1人が河野さんで、ありがたいことに翌年のRSGTで基調講演していただきました。(もう1人Chap AlexはDevIpsDaysでお呼びできました。)

米Microsoftで働く日本人エンジニアが語る、“楽しく開発”するために必要なこと - Part1 - ログミーTech

ここで痛感したのは、ビジネスに必要な業務知識を経営層・マネジメント層が持っていないと、もう儲からないんじゃないか?ということです。ソフトウェアに関する業務知識というと、コンピュータサイエンスだったり、もうちょっと基本的なレベルで、エンドユーザーに価値を感じてもらうことを、プログラミングを通じて実現するという行為を、自分ごととして認知可能かどうか?ということにあたるのではないかと思います。

 

「かわぐちくんの言うことは難しすぎる。私にわかるように説明してほしい。」

これまで社会に出てから、このような質問をいくつか受けてきた気がします。アジャイルの文脈だと「どうやって上司に説明したらいいでしょう?」という質問は必ず出てきます。いまやソフトウェアが関係しないビジネスはほとんどなくなったわけですし、なんらかのソフトウェア開発(Excelかもしれないし、自動生成のものも含め)とその生成物のマネジメントは必須の知識だと思うんです。わからないのが普通ではなく、危険なことなんじゃないかと思うんです。そして、多くの日本企業には機能不全のリーダーを見つけ出す仕組みとしての360度評価がありません(360度評価は多面的評価の仕組みではなさそう - kawaguti’s diary )。危険は危険のまま放置されて、スキルのある若手社員の絶望を生み出してしまっているかもしれません。あたりまえを疑うには、他人の言葉ではなく自分自身の目と耳で現場を見ることが必要で、理解するには業務知識が必要なのだろうと思います。部下や業者に求める業務知識を当事者の方々は持っているのでしょうか?学ぼうとしてきたのでしょうか。

 

エンジニアの環境がどうこう、給与・待遇がどうこうという話は、それはそれで大事なんですけど、お金や予算以前に、話が通じるか?が大事なんじゃないかと思います。「お前コード書いてんの?」という話でもたぶんないです。

これから景気後退局面に入るようです。そういえば、シリコンバレーで2001年のネットバブル崩壊後に伸びていた企業はGoogleVMwareだという話も聞きました。トップは創業者であり、ITサイドのネイティブで言葉を理解する人たちでした。テクノロジーを使ってもっと活人・活スペース(山田日登志さんの言葉)を進められる実行者に利があります。同じ価値をもっと効率的に生み出せるのです。

ちなみに、ソフトウェア業界経験は長いけど、指示出しとかマネジメントしかしてない人たちもいらっしゃって、こういう方々はわからない人にわかりやすく説明してくれるものの、効率化はしない傾向があります。そして、どんどん付加価値のない人を増やす傾向もあり、注意が必要です。組織ばかり作っても、製品はよくなりません。儲からんのです。あれっ?と思ったら、ちょっと考えてみてください。

 

皆様のご健勝をお祈りしております。

 

 

 

(追記 “業務知識”の使い方が違うというご指摘をいただきまして、補足的なエントリを書きました。)

業務知識とIT知識を分けて考える時代は終わったんじゃないか - kawaguti’s diary