スクラムの元になった資料 - [ハーバードビジネスレビュー] New New Product Development Game

アジャイルソフトウェア開発プロセスの1つであるスクラムは、日本人によるハーバードビジネスレビューに投稿された論文がきっかけで作られた、というのは、いまどき小学生でも知っている有名な話ですよねw。

で、なんかこのあたりに(http://apln-richmond.pbworks.com/f/New+New+Prod+Devel+Game.pdf) 置いてあったので読んでみました(2011年12月時点注記: すでに存在していないようです。)。

Fuji-Xerox, Honda, Canon, NEC, Epson, Brother, 3M, Xerox, HPを研究した結果みたいですね(P.3)。

It stimulates new kinds of learning and thinking within the organization at different levels and functions. Just as important, this strategy for product development can act as an agent of change for the larger organization. The energy and motivation the effort produces can spread throughout the big company and begin to break down some of the rigidities that have set in over time.

この部分に Jeff Sutherland が感銘を受けた事は想像に難くないです。
すこし文脈を補って意訳すると、

"製品開発のために複数のレベルの担当者が学び、考える(thinking)ことは、大きな組織におけるチェンジエージェントになりうる。このエネルギーとモチベーションは大企業全体に広がり、長年形成された硬直性を壊すきっかけになりうる。"

いい意味で、野中節炸裂という感じがします。書いたのは竹内さんかもしれないですが。

あと、読みながら書いたメモです。ご参考まで

  • 自己組織的で若いプロジェクトチーム
    • 大部屋主義
    • R&D担当と製品担当はタイムスケールが違うのでリズムをあわせることが重要
  • 富士Xerox は刺身システム(B)、ホンダはラグビーシステム(C)
  • 共同責任と協力を引き出す。
    • 参加とコミットを奨励、
    • 問題解決の焦点をあわせる、
    • 主導権をとる事を促す、
    • 多様性のあるスキルを開発、
    • マーケットの状態への感覚を高める
  • 3Mの15%ルール: エンジニアは15%を夢の実現に使う
  • TQCは組織全体の感覚を高める: 品質と生産性を高め、マーケット指向、コスト削減、仕事の単純化(work simplifications)
  • 巧妙なコントロール(subtle control):
    • 無管理ではなく、チェックポイントごとに評価、
    • self-control, control by peer pressure, control by love
  • 問題点と制約
    • 努力が必要=超過労働(ピーク時100時間とか)、
    • 画期的発明が必要な場合に使えないかも、
    • 超大規模プロジェクトでは使えないかも(faceto face で話せる範囲に制約)、
    • 一人の天才中心型の開発には使えないかも
  • 経営層がトライ&エラーを奨励する。
    • (アイデアの)多様化と統合化を両方使う。
    • 漸進的な決定/重要な決定は遅らせる
  • イデアは個人が特定のエリアに深く突っ込んだときに生まれやすい(learning in depth)というのが伝統的なアプローチ。しかし、非専門家による新しいアプローチでは、彼らは仕事に必要なスキルしか持っていないので、組織全体に渡っていろいろ調べることになる。
  • 製品開発は、次の収入の源泉というより、企業自身を変化させる触媒というミッションを与えるべき。
  • Try & Error, Leaning by Doingを取り入れた動的なプロセスを採用しないといけない。
  • 世界は変化しているのでイノベーション重要

以下、Scrum Allianceの公式サイトからこの論文にはリンクされています。